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数字の向こうにある「信頼」の話。塾講師として生徒たちに伝えきれなかったこと

公開日: 2026年4月2日 | カテゴリ: 開発の裏側・ライフハック

テストの点数では測れない「誠実さ」という指標

私は大学生活の約3年間を、塾講師として過ごしました。主に中学生の数学を担当し、どうすれば難しい数式を楽しく、かつ正確に理解してもらえるかに心血を注いできました。大学3年生から4年生にかけて、自身の進路や将来を考える時間が増える中で、私はある一つの疑問を抱くようになりました。

「私たちは学校で『計算の仕方』は教わるけれど、その計算結果を使って『どう人間関係を築くか』は教わっていないのではないか?」ということです。

テストで100点を取るための計算能力も大切ですが、社会に出てから本当に必要になるのは、お金という極めてデリケートな数字を扱いながら、いかに周囲の人と信頼関係を損なわずにコミュニケーションを取るかという能力です。Poff(ぽふ)というアプリは、ある意味で私にとっての「教科書には載っていない数学の解答」のような存在でもあります。

「1円」を笑う者は、1円に泣く、そして信頼を失う

数学の授業では、小数点第3位を四捨五入して答えなさい、といった問題がよく出ます。テストの世界では、端数を切り捨てることは「正解」へのプロセスです。しかし、現実のお金のやり取りにおいて、端数を勝手に切り捨てることは、時として「不誠実」と受け取られることがあります。

例えば、友人同士で3,334円のお会計を半分にする際、「端数は面倒だから1,600円でいいよ」と言ってくれる人はとても寛容に見えます。しかし、毎回「面倒だから」と少額の端数を切り捨てたり、逆にうやむやにしたりする習慣がつくと、受け取る側には小さな「違和感」が蓄積していきます。この違和感が積み重なった結果、ある日突然「あいつはお金にルーズだ」という評価に繋がり、大切な友情が壊れてしまうのです。

私がPoffの開発において、「1円のズレも内部で保持し続けるロジック」に異常なまでにこだわったのは、この「小さな不誠実の芽」をテクノロジーで摘み取りたかったからです。1円という数字は、経済的な価値としては小さいかもしれませんが、それを「正確に扱おうとする姿勢」こそが、対人関係における信頼の基礎になると信じているからです。

柔らかいUIが、数字の冷たさを溶かす

塾での経験上、難しい内容を教える際、私はいつも「ユーモア」と「柔らかい口調」を意識していました。厳しい言葉で間違いを指摘すれば、生徒の心は閉ざされます。しかし、キャラクターのイラストを添えて「ここ、惜しい!次はこうしてみようか」と優しく促せば、生徒は自分のミスと向き合う勇気を持てます。

お金の話も同じです。「貸したお金を返してほしい」という正当な主張であっても、それを冷たい数字とテキストだけで伝えれば、相手は攻撃されているように感じてしまいます。

Poffのパステルカラーの色使いや、ぽふっとしたキャラクターたちの動きは、この「伝え方の魔法」をアプリに応用したものです。正確な計算という「硬い事実」を、デザインという「柔らかい衣」で包む。そうすることで、お金の話題が持つトゲを抜き、会話のきっかけに変えていく。これこそが、私が塾の教壇から学んだコミュニケーションの極意です。

大学生活の集大成として

大学3年生から4年生にかけて、研究や塾の仕事、そしてこのPoffの開発に明け暮れる日々の中で、私は「数字は人を幸せにするためにあるべきだ」という結論に達しました。

教科書の中の数学は、テストが終われば忘れられてしまうかもしれません。しかし、Poffというアプリを通じて提供する「誠実で優しい数字のあり方」は、ユーザーの皆さんの人間関係を支える血肉になると信じています。

大学を卒業し、新しいステージに進む今、このPoffが多くの人の間に立ち、今日も誰かの「ありがとう」を支えていることを願ってやみません。